これまでの受賞者・授賞式 2015

京都創造者大賞 2015

各賞受賞者

京都創造者大賞

京都五山送り火連合会
(特非)大文字保存会、(公財)松ヶ崎立正会、船形萬燈籠保存会、左大文字保存会、鳥居形松明保存会

「地元の人々やボランティアによって支えられ、数百年という歴史を受け継ぐお盆の伝統行事」

五山送り火

【事業内容】

夏の夜空に点火され、くっきりと浮かび上がる京都五山送り火は、祇園祭とともに京都の夏を彩る風物詩であり、「大文字」、「妙法」、「船形」、「左大文字」、「鳥居形」の5つの山において、8月16日の夜、順次点火される。これを五山の送り火と呼んでいる。
各山では、それぞれの地域の習慣にしたがって保存会が組織されている。各保存会では、当日の点火だけでなく、一年中を通しての山や火床、参道の管理、点火材である松割り木の確保等に努力している。
もともとは各山山麓の集落毎の精霊送りの火であるが、それが既に江戸時代初期には京都盆地を舞台にした送り火行事として展開されてきたという、我が国の民俗行事のなかでも群を抜いた規模と歴史の長さを持つ行事である。
各送り火は、1983年に京都市登録無形民俗文化財に登録されている。

【審査講評】

お盆に迎えた精霊を送るとき、人々は様々な祈りや思いをこの灯に重ね、京都は格別な静寂に包まれる。点火にあわせて市民や企業が自ら街の灯りを落とす中、町内辻々からひろがる慎しみの気配は、もはや地元の宗教行事を越え、国内のみならず海外から訪れる人々の心をも動かす。この行事が、各保存会をはじめ、多くの組織や個人の奉仕によって今に受け継がれていることは、皆様が時代ごとの様々な困難に向き合いつつ、行事の重みへの認識を年々新たにしてこられたからであろう。今後も京都が大切にする年中行事として、多様な祈りを受け止めつつ、その灯を未来へと継いでいかれるよう願ってやまない。


京都創造者賞

もてなし・環境部門

錦市場商店街

京都錦市場商店街振興組合

「京都の食文化を守り、街の活気と賑わいを創出する京都を代表する商店街」

・ 延暦年間(782-805)に開設
・1054年 錦市場に改名
・1615年 魚市場への第一歩
・1911年 錦盛会設立
・1928年 錦栄会設立
・1963年 現組合設立
・2006年 フィレンツェ市公設中央市場と友好提携締結
・2015年 錦市場400年

【主な受賞歴】

・2006年 中小企業庁「がんばる商店街77選」

【事業内容】

この地が清冽な地下水に恵まれていたため、魚の貯蔵に適していたこと等から延暦年間に市が立ったのが始まりとされている。京都市民からは「錦」という愛称で呼び親しまれ、老舗料亭への卸をはじめ、「京の台所」として京野菜や京漬物をはじめ京料理の食材はほとんどここで揃う。国内外の観光客や修学旅行生が訪れる活気のある観光名所としても賑わう。また、伊藤若冲が錦の青物問屋を生家とすることでも知られている。2015年、幕府から魚問屋の称号・鑑札を許されてから400年を迎えた。フィレンツェ市公設中央市場と友好提携を締結し、相互にイベントを開催している。

【審査講評】

錦市場は、江戸初期に現在の市場のかたちを整え、今年400年を迎える。その間、多くの困難を克服しつつ、「京の台所」として〝ほんまもん〟にこだわる食文化を守り育てるだけでなく、顔の見える商いを通じて、多様な文化を生み出す場でもあり続けた。今や京都屈指の観光スポットとして、国内外からの訪問客の定番コースともなっており、「NISHIKI」は世界ブランドになりつつある。時代の変遷を越えて続く老舗と新しい商店の組合せが程よく保たれ、観光客激増による諸課題にも創造的に向き合われる組合の姿はすばらしい。今後も食を通じて京都ブランドの輝きが一層増すことを期待したい。


アート・文化部門

京都伝統工芸大学校

京都伝統工芸大学校

「開校以来20年にわたり、伝統工芸の技を習得した人材を輩出し、後継者育成と伝統産業の活性化に貢献」

・1995年 京都伝統工芸専門校として開校
・2002年 イタリアとの交流事業スタート
・2003年 京都伝統工芸館竣工
・2005年 学校設置者を学校法人二本松学院に変更
・2007年 校名を<専>京都伝統工芸大学校に改称
高度専門課程(4年制)新設
・2011年 仏 エコール・ブール国立工芸学校と連携協定を締結
・2014年 文部科学大臣より「職業実践専門課程」の認定

【主な受賞歴】

・2006年 「新世紀かがやき交流賞」 京都府知事

【事業内容】

従来の徒弟制度に代わる技能修得を主とした専門学校教育を行ってきた。教員には伝統工芸士等の現役職人を当て、実践的な教育を行い、開校以来、2,500人を超える卒業生の中から、京都を始め、全国の伝統工芸産地の後継者を送り出してきた。また、イタリアやフランス、ブータン国との国際交流事業や、清水寺と連携した東日本大震災復興祈念プロジェクトなどの地域貢献事業、琳派400年関連事業などの産学公連携事業も活発に行っている。現在、伝統工芸学科に10専攻を設けており、さらに2016年には、「京手描友禅専攻」を新設する予定である。

【審査講評】

伝統工芸の後継者難が言われて久しい。匠の技が内輪の徒弟制や世襲により受け継がれてきたことも一因であった。同校は、そのような技を未来につなぐため、20年前にあえて学校教育制を導入し、数々の困難を克服しつつ、人材育成事業を軌道に載せた。近年では、この学校無くして今の伝統工芸界無しとの声も聞かれる。現在、多くの卒業生が、次世代の有能な担い手として全国で活躍している。また、京都市の中心部に京都伝統工芸館を開設、欧州の工芸学校との提携も進め、来年には京手描友禅の専攻も新設される。京文化の基軸産業を力強く支える同校の取組みを称えるとともに、今後の更なる展開に期待したい。


企業部門

京都タワー

京都タワー株式会社

「開業50年を迎えた京都の玄関口のランドマーク」

・1959年 株式会社京都産業観光センター(旧社名)設立
・1964年 京都タワー開業
・1975年 京都タワー株式会社に社名変更
・1977年 京都タワーご来塔1,000万人達成
・1993年 京都タワーご来塔2,000万人達成
・2004年 開業40周年 イメージキャラクター「たわわちゃん」誕生
・2014年 開業50周年

【事業内容】

建設当時の京都市の人口が約131万人だったことに由来し、ビルを含めた高さは131mあり、京都市内では最も高い建造物である。1964年に開業し、昨年50周年を迎え、京都の表玄関のランドマークタワーとして内外の観光客をもてなす。来塔者は年間50万人にのぼり、2014年9月には通算2,900万人を突破した。今年6月にはタワー3FにJTB西日本と京阪電気鉄道により訪日外国人向け観光案内所をオープンした。また、乳がん検診啓発や児童虐待防止、世界糖尿病デーなどでシンボルカラーのライトアップなどを通じ社会貢献活動も行っている。

【審査講評】

京都タワーは、建設当時、景観面で議論があったものの、今や京都の玄関口のランドマークとして定着し、観光客だけでなく、遠出から戻った京の住人をも温かく迎える。一方で、乳がん検診啓発などの各種キャンペーンでのメッセージカラーによるライトアップの取組みは、街行く人々の注目を集め、まさにランドマーク建築ならではの社会貢献と言える。間もなく突破するとされる通算来塔者数3,000万人を更なる発展への契機とし、タワー展望台から鳥瞰する京都の街並みが美しいものであり続けることを願うとともに、京都駅周辺の活性化を導く〝まちなかの灯台〟として、今後の多彩な展開に期待を寄せたい。


未来への飛翔部門

京都ハンナリーズ(スポーツコミュニケーションKYOTO株式会社)

京都ハンナリーズ(スポーツコミュニケーションKYOTO株式会社)

「ホームタウン京都に、夢と感動を提供し、京都のスポーツ文化発展に貢献するプロバスケットボールチーム」

・2008年 チーム設立
・2009年 bjリーグ2009-2010シーズン参入
・2010年 2009-10シーズン 17勝35敗 ウェスタン・カンファレンス 6位
・2013年 2012-13シーズン 29勝23敗 同 5位
・2014年 2013-14シーズン 34勝18敗 同 2位
・2015年 2014-15シーズン 44勝 8敗 同 1位
・2015年 統一新リーグ(JPBL)1部リーグ所属決定

【事業内容】

京都をホームタウンに活動するプロバスケットボールチーム。京都府内のプロスポーツチームとしては、京都サンガF.C.に次いで2チーム目。2014-15シーズンは、リーグ史上最高勝利数を記録し、初のウェスタン・カンファレンス1位に輝いた。2016年10月に開幕する新たな統一プロリーグでは「1部リーグ」所属が決定した。また、子どもたちへのバスケットボール競技の普及・技術向上に取り組む活動や、「薬物乱用防止キャンペーン」「自転車マナーアップイベント」への参加など社会貢献活動にも積極的に参加し、地元京都に愛されるチーム運営に努めている。

【審査講評】

同チームは年々強さを増し、2014-15年シーズンには圧倒的な成績で地区優勝を果たし、若き選手たちの活躍は、京都のスポーツ界に鮮烈な印象を残した。その戦績もさることながら、選手自ら街頭に立っての薬物乱用防止キャンペーンなど、地域社会とのつながりを育む活動が、近年の来場者数増につながっていると言えよう。日本初のバスケットボールチームが京都で結成されて100年目にあたる今年、新たに全国統一されるリーグの「1部リーグ」所属が決定したことは、今後の飛翔への確かな歩みである。更なる活躍により、応援する人々の数も増え、町中がその話題でハンナリと賑わう時が来ることを祈りたい。


応募状況

募集期間:平成27年4月1日(水)~同年5月29日(金)

243件(自薦 34件 / 他薦209件)

もてなし・環境部門 60件 (自薦5件/他薦55件)
アート・文化部門 66件 (自薦10件/他薦56件)
企業部門 65件 (自薦10件/他薦55件)
未来への飛翔部門 52件 (自薦9件/他薦43件)

選考状況

・選考委員会 平成27年7月10日
・顕彰委員会 平成27年7月24日

授賞式

日時 平成27年9月4日(金)午後2時~同4時(午後1時30分開場)
場所 ウィングス京都
京都市中京区東洞院通六角下る御射山町262

オープニング

オープニング演奏
津田 佐代子 さん
(フルート奏者)


記念講演

「祇園町に育って」
   松井 今朝子 さん(小説家)
   京都市生まれ。
   割烹「川上」の長女として祇園に育つ。
   大学卒業後、松竹に入社。歌舞伎の企画・制作に携わる。
   2007年『吉原手引草』で第137回直木賞受賞。
   現在、京都新聞に小説『料理通異聞』連載中。

 

副賞

京都創造者大賞 トロフィー、活動助成金100万円
京都創造者賞 トロフィー、活動助成金50万円

「創造の息吹」
トロフィー 創造の息吹は、伝統の上に芽生える。
京都の地に根付いた伝統の上に、新しく生み出される創造の心を継承・発展してゆく情景を、大地に根付いた手を伝統に見立て、生み出されるものを子供に象徴化した。

江里 敏明(えり・としあき)江里 敏明(えり・としあき)
1947年京都市生まれ。
日展を主な発表の場とし、現在 日展評議員・日本彫刻会運営委員。 主な作品に田辺朔郎像、北垣国道像、毛利輝元像、中岡慎太郎像、 京都国体メダルなどがある。

※賞状には京都の無形文化財にも指定されている黒谷和紙を使用
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