京都創造者大賞 2011
各賞受賞者
京都創造者大賞
嵯峨野観光鉄道株式会社/保津川遊船企業組合
「嵯峨野トロッコ列車と保津川下りの自然や地域社会との『共生』を図りながらのおもてなし活動」
<<嵯峨野観光鉄道株式会社>> | |
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・1991(平成 3)年 | 開業 |
・1997(平成 9)年 | トロッコ嵯峨新駅舎オープン |
・2011(平成23)年 | ご乗車人員1,600万人達成 |
・2011(平成23)年 | 開業20周年 |
・2011(平成23)年 | 日本最大級の鉄道ジオラマ 「ジオラマ京都JAPAN」オープン |
【主な受賞歴】 | |
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・2004(平成16)年 | 「観光カリスマ百選」(観光庁) |
・2010(平成22)年 | 「日本鉄道賞」受賞(国土交通省) |
【事業内容】
嵯峨野トロッコ列車は、嵯峨野を基点に保津川渓谷に沿って丹波路亀岡に至る7.3kmを約25分で結んでおり、JRが電化・複線化した際に廃線となった旧線を利用して、沿線の自然美・渓谷美を有効に活用するため、観光用に創り上げた。沿線の桜や、もみぢの植樹&ライトアップなど、職員手作りにより、自然や地域社会との「共生」を図りながらのおもてなし活動を行う。利用者は年間90万人を超え、京都市・亀岡市・JR嵯峨野線の活性化と地域観光振興に貢献している。
<<保津川遊船企業組合>> | |
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・1895(明治28)年頃 | 遊船として観光客を乗せた川下りが始まる |
・1907(明治40)年 | 夏目漱石の作品「虞美人草」にて川下りの 情景が描かれる |
・1920(大正9)年 | ルーマニア皇太子ご乗船 |
・1922(大正11)年 | 英国皇太子ご一行乗船 |
・1926(大正15)年頃 | 皇太子殿下ご乗船 |
・1970(昭和45)年 | 組合設立 |
・2011(平成23)年 | 新社屋完成 2月より営業開始 |
【主な受賞歴】 | |
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・2008(平成20)年 | 「観光地美化奉仕団体」表彰(日本観光協会関西支部) |
【事業内容】
保津川の水流を利用した筏による木材の輸送は古くから行われていた。大阪城や伏見城造営の折りにも保津川の水運を利用して資材が運ばれた。
1606(慶長11)年に保津川が開削され高瀬船の運行が可能になり飛躍的に産業水路として発達し、丹波地方の産物を輸送し都の台所を支えた。鉄道、トラック輸送の発達に伴い、その役割が衰退していくなか1895(明治28)年頃から遊船として観光客を乗せた保津川下りが始まり、亀岡から嵐山まで約16km、四季それぞれの美しさを映す渓谷美は国内外に広く知られ、年間を通じて約30万人の観光客が訪れる。従来より川作という部署を設け川の整備、保全に当たっていたが、近年の川の環境変化に対応するため2007(平成19)年に組合内に「エコ・グリーン環境対策委員会」を組織し、保津川の清掃や植樹活動を実施し環境保全に取組んでいる。
【審査講評】
往路は嵐山からトロッコ列車で亀岡に向かい、帰路は保津川下りを楽しむ観光ルートを確立・定着させ、京都市・亀岡市・JR嵯峨野線の活性化と地域観光振興に貢献。また両者ともに自然や地域社会との「共生」を図り、植樹や清掃活動など、地道に環境保全に取組んでいることも高く評価した。京都創造者として国内外に向け、各事業を通じて更なる京都ブランドの発信を行うとともに、京都の新たな魅力の創出にも期待したい。
京都創造者賞
もてなし・環境部門
京都鴨川納涼床協同組合
「『鴨川納涼床』の文化風習を継承し、未来に伝えるため尽力」
・江戸時代初期 | 二条から五条間で周辺の茶屋や宿が、護岸から張り出した「川床」をしつらえ、客を迎えるようになる |
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・江戸中期 | 「川床」は現在のような高床式のものになり木屋町・先斗町・西石垣を中心に多くの床が作られるようになる |
・1953(昭和28)年 | 京都の伝統文化・夏の風物詩として、また京都の観光資源としての重要な位置を占める鴨川納涼床を保存するため「鴨涯保勝会」を設立 |
・2006(平成18)年 | 「鴨涯保勝会」が法人格を得て「京都鴨川納涼床協同組合」を設立 |
・2007(平成19)年 | 「鴨川納涼床」が地域ブランドとして商標登録される |
【主な受賞歴】 | |
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・2000(平成12)年 | 第1回JUDI優秀賞(都市環境デザイン会議) |
【事業内容】
鴨川における夕涼みの風習は400年近く前より京の町衆の風俗文化として始まった。床に乗る人、川原を散策する人、そして水音と川風。それらが一体となって京都の鴨川の夏を醸し出しており、未だアナログな時間が流れている。贅沢な時を感じていただく事を組合の使命としており、各店の連絡調整機関として鴨川納涼床の文化風習を未来に継承するため尽力している。
2011(平成23)年度現在、組合員数92名(店舗数98店)で構成。
【審査講評】
江戸時代から現在に受け継がれる京の夏の風物詩「鴨川納涼床」。河川占用許可の手続きや、様々なPR活動など、納涼床の安定的実施のため組合員の調整機関として尽力。組合員の意識向上や規律の徹底等を図ることにより、京都の「おもてなし力」を高めている点も評価し、もてなし・環境部門での創造者賞とした。
地域ブランドとして商標登録されており、文化的資源でもある「鴨川納涼床」を、将来に亘って伝承し続けていただきたい。
アート・文化部門
和紙作家 堀木エリ子
「革新的技法で生み出す新しいスタイルの和紙造形で日本の伝統産業を京都から世界へ発信」
・1962(昭和37)年 | 京都生まれ |
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・1987(昭和62)年 | SHIMUS設立 |
・2000(平成12)年 | 株式会社堀木エリ子&アソシエイツ設立 |
・2009(平成21)年 | 「堀木エリ子の世界展~和紙から生まれる祈り」 (山口/山口県立美術館) |
・2010(平成22)年 | 「上海国際博覧会日本産業館」(中国/上海) |
・2011(平成23)年 | ミラノサローネ ユーロルーチェ「Baccarat Highlights」 (イタリア/ミラノ) |
【主な受賞歴】 | |
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・2001(平成13)年 | 日本建築美術工芸協会賞(社団法人日本建築美術工芸協会) |
・2002(平成14)年 | インテリアプランニング 国土交通大臣賞(財団法人建築技術教育普及センター) |
・2002(平成14)年 | あけぼの賞(京都府) |
・2003(平成15)年 | 日本現代藝術奨励賞(財団法人日本文化藝術財団) |
・2003(平成15)年 | ウーマン・オブ・ザ・イヤー賞2003(日経ホーム社出版「日経ウーマン」) |
・2003(平成15)年 | 女性起業家大賞(全国商工会議所女性会連合会) |
・2006(平成18)年 | SDA賞/サインデザイン優秀賞(社団法人日本サインデザイン協会) |
・2009(平成21)年 | 「Joie de Vivre(いのち華やぐ)」賞(C.I.V.C. 日本事務局) |
【事業内容】
「建築空間に生きる和紙造形の創造」をテーマに、2700×2100mmを基本サイズとしたオリジナル和紙を制作。和紙インテリアアートの企画・制作から施工までを手掛ける。公共施設・商業空間でのアートワークの他、舞台美術等、時代の要望に添った、新しい和紙の表現に取り組む。
デザイン・制作・二次加工・施工などの様々な段階において独自の工夫が施された作品となっている。現代の技術開発により、100年後の伝統産業になりうるマテリアルを創り出すことを目指して活動している。
【審査講評】
時間の移ろいを感じる和紙本来の良さをきちんと伝え、和紙の魅力を最大限生かす商品を開発。その制作活動は国内にとどまらず、海外の老舗ブランドとのコラボレーションによる新商品の開発など、革新的な技法で日本の伝統産業を国内外へ広く発信していることを高く評価し、アート・文化部門での創造者賞とした。今後も京都にある様々な伝統産業の可能性を拓く牽引役として、ますますの活躍に期待したい。
企業部門
京都リサーチパーク
「産学公連携の拠点として20余年にわたりベンチャー企業の成長を支援」
・1989(平成元)年 | 京都リサーチパークがオープン(東地区:KRP1号館、2号館、京都府中小企業総合センター、京都市工業試験場(当時)、(財)京都高度技術研究所) |
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・1992(平成4)年 | 西地区順次開発開始 ガスビル(1992年)、3号館(1993年)、4号館(1994年)、スタジオ棟(1997年)、5号館(1998年) |
・2001(平成13)年 | 6号館竣工、KRPデータセンター開設 (財)京都産業21が発足 |
・2005(平成17)年 | 7号館竣工 |
・2006(平成18)年 | 8号館竣工、コスパKRP店オープン |
・2009(平成21)年 | KRPまちびらき20年 |
・2010(平成22)年 | 京都市産業技術研究所・KRP9号館複合棟竣工 |
・2011(平成23)年 | 東地区に京都産業科学技術総合イノベーションセンター(KISTIC)竣工 |
【事業内容】
大学、行政、産業界が一体となり、全国初の民間リサーチパークとして1989(平成元)年に開設。京都府、京都市の産業支援機関が集積し、ベンチャー育成や産学公連携を通じて京都の活性化に貢献すると共に、創造的な研究開発環境、各種サービスの提供を通じて、新たな分野を切り開く企業を支援している。現在では約250社の企業・機関が入居し、昼間の就業人口は約2,600人の「まち」に発展、2009(平成21)年10月にまちびらき20周年を迎えた。人、情報、ビジネスが交差する新産業創出拠点、産学公連携拠点を目指した活動を展開中である。
【審査講評】
40もの大学が立地する「大学のまち京都」、世界市場で活躍する企業等を輩出した「ベンチャーの都・京都」という風土を生かし、京都の新産業創出拠点、産学公連携拠点として、地域の産業発展・活性化に20年以上にわたり貢献。常に時代の経済産業動向を見据え、様々なサービスによりベンチャー企業の成長を支援する同地域の取組みは、モデル的事例として京都から全国へ発信できるものと高く評価し、企業部門での創造者賞とした。
未来への飛翔部門
京都伝統産業青年会
「京の若手職人による伝統産業の継承と開拓」
・1963(昭和38)年 | 「京都伝統産業青年部懇談会」発足 |
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・1964(昭和39)年 | 「京都伝統産業青年部協議会」に名称変更、 会則規定 |
・1965(昭和40)年 | 「京都伝統産業青年部」を結成、設立総会開催 |
・1966(昭和41)年 | 「京都伝統産業青年会」に名称変更 |
・1997(平成 9 )年 | 第1回青蓮院門跡特別展(現在の京都伝統産業青年会展)開催 |
・2004(平成16)年 | 設立40周年 |
【主な受賞歴】 | |
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・2008(平成20)年 | 京都市自治百十周年記念表彰 |
【事業内容】
京都の伝統産業に従事する青年相互の親睦と、知識の共有、技術の向上を図り、伝統産業を通じて地域社会の発展に寄与することを目的として発足。
「京都伝統産業青年会展」「新商品開発」等の事業を展開し、伝統産業の啓蒙と振興に寄与するべく活動している。
2011(平成23)年度現在、20の青年会及び個人会員、合わせて約460名で構成。
【審査講評】
伝統産業に従事する青年達が、先達より継承してきたものづくりへの熱意を、それまでの枠組みにとらわれることなく、伝統産業の新たな可能性を追求し活動を展開。異業種同士の活発な交流活動を通じて、伝統産業の振興と発信に寄与していることから、未来への飛翔部門での創造者賞とした。京都の伝統産業を未来へ継承して頂きたいという願いも込めての授賞である。
応募状況
募集期間:平成23年4月1日(金)~5月31日(火)
277件(自薦 75件 / 他薦202件)
もてなし・環境部門 | 72件 | (自薦14件/他薦58件) |
アート・文化部門 | 104件 | (自薦37件/他薦67件) |
企業部門 | 57件 | (自薦12件/他薦45件) |
未来への飛翔部門 | 44件 | (自薦12件/他薦32件) |
選考状況
・選考委員会 平成23年7月13日
・顕彰委員会 平成23年8月12日
授賞式
・日 時 | 平成23年9月20日(火) 午後2時~同4時30分 |
・会 場 | 京都大学百周年時計台記念館 (京都市左京区吉田本町) |
・プログラム |
ハープ・尺八演奏 | 速海 ちひろ 氏 / 三好 芫山 氏 | |
開会の辞 | 京都創造者大賞顕彰委員会 委員長 千 玄室 ※司会者代読 | |
主催者挨拶 | 京都市長 門川 大作 | |
講評 | 京都創造者大賞選考委員会 委員長 芳賀 徹 | |
記念講演 | 「創造が生み出す伝統」 東京大学名誉教授、京都国際マンガミュージアム館長 養老 孟司 氏 |