京都創造者大賞 2007
各賞受賞者
京都創造者大賞
祇園町南側地区協議会 / NPO法人祇園町南側地区まちづくり協議会
「祇園町南側地区における伝統的建造物の保存・継承」
【事業内容】 | |
・1996(平成 8)年 | 「祇園町南側地区協議会」設立 |
・1999(平成11)年 | 「祇園町南側地区景観協定」締結 |
・2001(平成13)年 | 「NPO法人祇園町南側地区まちづくり協議会」設立 |
・2002(平成14)年 | 「花見小路通景観整備事業」完成式典 |
・2004(平成16)年 | 「町式目」制定 |
・2006(平成18)年 | 「祇園町南側地区協議会」設立10周年、 「NPO法人祇園町南側地区まちづくり協議会」設立5周年 |
【最近の受賞歴】 | |
・2003(平成15)年 | 第2回景観まちづくりコンクール<京都市他主催>「花見小路景観整備」京都市長賞 |
・2007(平成19)年 | まちづくり月間国土交通大臣表彰<国土交通省主催> |
「お茶屋」など情緒あるまち並み景観を有する祇園町南側地区の歴史的様式を持つ木造建築の保全活動とそこに暮らす者の営業や生活環境を整える活動を一体としてとらえ、行政と連携した実行力のある活動を展開している。
花見小路景観整備(建築物や工作物の新築や外観工事を行う際の規制)や私道整備(石畳化)、防災啓発と私設消火栓整備、啓発などの活動を積極的に行っている。
また、町内の共同意識を高めるため「町式目」を制定し、地区の方針、火の用心と防犯、環境保持など6項目24条を定める。
【審査講評】
いわゆる「祇園情緒」の雰囲気を伝える京都を代表するまち並みの保存・継承を、行政だけに依存するのではなく、地元ぐるみの取り組みとして、私権が制約されることをも顧みず、積極的に活動してきたことを高く評価した。
まち並みを博物館のように保存するのではなく、地区内の人々がプライドと責任を持って、その時代に応じて、建物を修繕、改築、建て直していくルールづくりは、京都の他地域の模範となる好事例である。
京都人が自信と誇りをもって入洛観光客や海外の人々を案内できる同地域の今後の継続的な取り組みに期待したい。
京都創造者賞
もてなし・環境部門
鴨川を美しくする会
「鴨川の美化活動や鴨川に親しむイベントの開催」
【事業内容】 | |
・1964(昭和39)年 | 設立 |
・1969(昭和44)年 | 第1回鴨川納涼開催 |
・1973(昭和48)年 | 第1回鴨川茶店開催 |
・1994(平成 6)年 | 第1回鴨川合同クリーンハイク実施 |
・1998(平成10)年 | 流域の小学校で環境学習実施 |
・2005(平成17)年 | 小学5年生の社会の教科書に活動が紹介される |
【最近の受賞歴】 | |
・2006(平成18)年 | 第2回きれいな水と美しい緑を取りもどす全国大会<環境省・(社)日本の水をきれいにする会> 最優秀賞 |
・2007(平成19)年 | 第9回日本水大賞<日本水大賞委員会>審査部会特別賞 |
地域住民によって、京都市内を流れる鴨川を美しくするために、行政機関と相互に連絡協調をはかり、河川美化と環境保全の輪の広がりを目的とするために結成されたボランティア団体。現在、個人会員約80名、団体会員約290団体が加盟。
鴨川の河川敷を散策しながら清掃する「クリーンハイク」(年5回程度)や「鴨川茶店」(4月)、「鴨川納涼」(8月)などの市民参加型の恒例イベントのほか、市内小中学校での環境学習への協力や水生昆虫の実態調査、国内外からの研修生の受け入れを積極的に行っている。
【審査講評】
地域住民や団体が主体となって40年以上もの長期にわたり、ボランティアで鴨川の美化活動や環境整備活動を行っており、その地道で継続的な取り組みを評価した。
人口140万都市の中心部を流れている河川にもかかわらず、鮎が生息するなどの清流は他に類を見ず、京都の誇りとなっている。この京都を代表する鴨川周辺を美しく保ち、お客さまを気持ちよくお迎えするという姿勢は、まさに「もてなし」の基本であると考え、「環境」としてではなく、もてなし部門における創造者賞とした。
本会の取り組みが本年7月の京都府の鴨川条例の成立に大きく貢献したことは否めず、今後、新設される鴨川府民会議などにおける同会の更なる活躍を期待したい。
環境・景観部門
NPO法人KES環境機構
「KES・環境マネジメントシステム・スタンダードの普及、啓発」
【事業内容】 | |
・2001(平成13)年 | 京のアジェンダ21フォーラム「KES認証事業部」が京都発環境管理審査登録 制度として「京都環境マネジメントシステム・スタンダード」を開始 |
・2002(平成14)年 | KES・環境マネジメントシステム・スタンダードに名称変更 |
京都以外の団体で審査・登録活動が開始 | |
・2006(平成18)年 | 創立5周年・審査登録1000件記念式典開催 |
・2007(平成19)年 | NPO法人KES環境機構設立 登録件数:1,714件(8月末現在) |
環境マネジメントシステムには国際規格ISO14001があるが、中小企業には人・物・金等経営資源の問題により容易に取得することが出来ず、 より分かりやすく、取り組みやすい規格が求められており、必要経費も安価な「環境にやさしい基準」としてKESが策定された。
環境問題に取り組み始めた段階を想定したステップ1と将来「ISO14001」の認証取得をめざして取り組むステップ2がある。ステップ1及びステップ2からISO14001を取得した企業は40件にのぼる。
京都発の環境マネジメントシステムとして、全国各地に拡大し、青森、横浜、神戸、鹿児島など現在11地域の協働審査機関が取り組みをすすめている。
京都市では、京都市教育委員会との協働事業で総合学習の一環としてKESを活用した授業も実施されている。
※KES・Environmental Management System Standard
【審査講評】
京都議定書が締結された環境先進都市・京都が創設した環境管理審査登録制度として、世界に誇れるものであり、この基準が京都のみならず日本各地に広がりつつあるという功績を評価し、環境・景観部門における創造者賞とした。
発足して6年目であり認知度もあまり高いとはいえないが、KES取り組み約300社の省エネ活動により5110トン/年(1社平均17トン/年)のCO2排出量削減の実績があり、京都から発信している環境意識の先進性を大いに高めていることは否めず、本事業の今後一層の発展とKESの取得を通じて、京都企業や府市民の環境意識がさらに高まることを期待したい。
アート・文化部門
京都市交響楽団
「京都市交響楽団の取り組み」
【事業内容】 | |
・1956(昭和31)年 | 日本で唯一の自治体直営のオーケストラとして創立 |
・2000(平成12)年 | 本拠地を京都会館から最適の環境と最新の音響設備に恵まれた京都コンサートホールに移転し活動を展開 |
・2001(平成13)年 | 第11代常任指揮者として大友直人氏が就任 |
・2003(平成15)年 | 子供向け定期演奏会「こどものためのコンサート」を開始 |
・2006(平成18)年 | 創立50周年 |
・2007(平成19)年 | 定期演奏会500回を達成 |
海外での活動だけでなく、最近では、西日本で初めての子どもを対象とした定期的な演奏会「こどものためのコンサート」に新たに取り組むとともに、平成16年度からは、毎年地域の文化会館等を巡回演奏する「みんなのコンサート」にテーマ性を持たせてリニューアルするなど、より幅広い聴衆へ音楽の素晴らしさを伝えていくことに努めている。
また、京響を愛し、京響が名実ともに優れたオーケストラとして発展していくことを願い、支援していこうという熱心人々が結集した京響友の会には、京都市民のみならず、広く全国からの支援の輪が広がっている。
(会員数:個人会員676名、法人会員45社※平成18年末現在)
【審査講評】
50年にもわたる地道な音楽活動により、京都府市民はもとより、国内外での公演などを通じ、京都の音楽性の高さをアピールしていることを評価し、アート・文化部門における創造者賞とした。また、現在の常任指揮者である大友直人氏は、就任以来、子供を対象にした演奏会や地域巡回型コンサートなどを多面的に展開し、音楽をより身近なものとして受け入れられる環境を作り出した功績は大きい。今後、ますますスケールアップし、京都の文化・芸術力を高めるため、より積極的な活動を期待したい。
企業部門
株式会社村田製作所
「ムラタセイサク君による京都の最先端技術力の発信」
【事業内容】 | |
・2005(平成17)年 | CEATEC Japan2005会場で初公開 |
・2006(平成18)年 | 札幌、名古屋、福岡など全国各地でデモンストレーション。 CEATEC Japan2006において2006年モデルを発表 北京市でプレスカンファレンス Electronica 2006(ドイツ)出展 米国「TIME」誌(11/13号)で「Best Inventions 2006」に選ばれる |
・2007(平成19)年 | 第6回ケータイ国際フォーラム(北京)出展 IEEE Microwave Symposium(ハワイ)出展 National Science and Technology Fair 2007(タイ)出展 第40回アジア開発銀行(ADB)年次総会京都デーでデモンストレーション |
ジャイロセンサや超音波センサなど部品、生産技術、ソフトウェアなど村田製作所の技術の集大成により製作された自転車型ロボット。
村田製作所の商品としてではなく、同社の製品紹介と技術の可能性をアピールすることを目的として製作されたもので、企画・製作に当たっては、営業部門、スタッフ部門、商品部門や生産技術部門など様々な部門から若手メンバーが自発的に参画し、組織の枠を超えて取り組んだチームワークの成果である。
京都が持つ「ものづくり」技術の高さを国内外に知らしめており、小中学校などの課外授業に招かれるなど、子供の理科離れ対策にも貢献している。
【審査講評】
ロボット市場では他地域に一歩出遅れている感のある京都が、国内外に対して「京都発のロボット」としてアピールし、京都のものづくりの技術力の高さや若年層への科学技術教育に貢献したという点を評価し、企業部門の創造者賞とした。
ネーミングに企業色が前面に出ていることには若干の懸念があるが、親しみやすいデザインや人間らしい動きには暖かみがあり、国内外での今後の活躍を期待したい。
応募状況
募集期間:平成19年4月2日(月)~5月31日(木)
219件(自薦138件/他薦81件)
もてなし部門 | 26件 | (自薦13件/他薦13件) |
環境・景観部門 | 35件 | (自薦23件/他薦12件) |
アート・文化部門 | 105件 | (自薦65件/他薦40件) |
企業部門 | 53件 | (自薦37件/他薦16件) |
授賞式
・日 時 | 平成19年9月28日(金)14:00~16:30 |
・会 場 | 金剛能楽堂<上京区烏丸通一条下ル> |
・出席者 | 約350名 |
・プログラム |
舞囃子 | 「岩船」 金剛流宗家 金剛 永謹 氏 | |
開会挨拶 | 京都創造者大賞顕彰委員会 委員長 千 玄室 | |
授賞式 | ||
講 評 | 京都創造者大賞選考委員会 委員長 芳賀 徹 | |
記念講演 | 「京都の美とエネルギーを生みだしたもの」 国際日本文化研究センター名誉教授 山折 哲雄 氏 |