これまでの受賞者・授賞式 2008

京都創造者大賞 2008

各賞受賞者

京都創造者大賞

瀬戸内 寂聴

瀬戸内 寂聴

「源氏物語千年紀事業および京都の魅力の発信に貢献」

・1922(大正11)年 徳島市に生まれる
・1973(昭和48)年 中尊寺で得度。法名「寂聴」
・1974(昭和49)年 京都嵯峨野に寂庵を結ぶ
・1987(昭和62)年 岩手県浄法寺町の天台寺住職に就任
(~2005年6月)

【最近の受賞歴】
・1993(平成5)年 京都府文化特別功労賞受賞
・1994(平成6)年 徳島県文化賞受賞
・1997(平成9)年 文化功労者
・1998(平成10)年 第49回NHK放送文化賞受賞
・2000(平成12)年 岩手県県勢功労者受賞、徳島市名誉市民
・2006(平成18)年 イタリア国際ノニーノ賞受賞、文化勲章受賞
・2007(平成19)年 徳島県県民栄誉賞、比叡山禅光坊住職に就任、京都市名誉市民

※新作歌舞伎「源氏物語 須磨・明石・京」で大谷竹次郎賞受賞など、作家としての受賞も多数。
※著書は、「夏の終り」「田村俊子」「比叡」「花に問え」「手毬」「白道」「現代語訳源氏物語」など多数。

1998(平成10)年、「瀬戸内寂聴訳 源氏物語」(全10巻)の全訳が完成、同年11月には、宇治市立源氏物語ミュージアムの
名誉館長に就任。
2006(平成18)年11月には、2008(平成20)年「源氏物語」が記録上で確認されたときからちょうど一千年を迎えることを受け、「源氏物語千年紀のよびかけ」メンバーに就任。

【審査講評】
作家としての執筆活動、寂庵、天台寺における定期的な法話の会の開催のほか、源氏物語千年紀を契機に全国各地で講演活動を行うなど、現代の人々への源氏物語をはじめとした古典の普及に対する貢献は大なるものがある。この功績は京都の誇りであり、源氏物語千年紀を迎える今年、歴史・文化を継承し、新しい解釈で未来につなぐ、京都創造者として顕彰したい。

特別賞

京都大学教授・山中 伸弥

山中 伸弥(京都大学 物質-細胞統合システム拠点iPS細胞研究センター長/再生医科学研究所 教授)

「倫理的問題や免疫拒絶を回避するとみられる新しい多能性幹細胞、iPS細胞の樹立」

・2006(平成18)年 マウスiPS細胞の樹立に成功
・2007(平成19)年 ヒトiPS細胞の樹立に成功
・2007(平成19)年 Myc-(マイナス)iPS細胞の作製
・2008(平成20)年 胃や肝臓の細胞からiPS作製

マウスの線維芽細胞に4つの既知の遺伝子(Oct3/4, Sox2、Klf4およびc-Myc)をレトロウイルスベクターで導入することにより、ES細胞と性質の良く似た人工多能性幹(induced pluripotent stem, iPS)細胞の樹立に成功した後、マウスと同じ遺伝子セットを用いてヒトiPS細胞の作製にも成功した。レトロウィルス由来のc-Myc遺伝子の再活性化により、腫瘍形成の可能性がみられたが、作製の条件を改良することでc-Mycを用いず3因子だけでマウスおよびヒトのMyc-(マイナス)iPS細胞を樹立することに成功した。また、マウスの肝臓や胃の細胞からもiPS細胞の樹立に成功した。

【最近の受賞歴】
・2003(平成15)年度 NAIST学術賞
・2004(平成16)年度 第10回ゴールド・メダル「東京テクノ・フォーラム21賞」
・2006(平成18)年度 第3回日本学術振興会賞
・2007(平成19)年度 第25回大阪科学賞
・2007(平成19)年度 朝日賞
・2007(平成19)年度 マイエンブルク賞 Meyenburg Award 2007
・2008(平成20)年度 ロベルト・コッホ賞
・2008(平成20)年度 科学技術特別賞
・2008(平成20)年度 ショウ賞
・2008(平成20)年度 高峰記念三共賞

※その他
2008年 The 2008 TIME 100 - The World's Most Influential People(世界で最も影響力のある100人)

【審査講評】
人間の皮膚からiPS細胞を作製した山中教授らの研究は、再生医療に革新をもたらす成果であり、世界で初めての素晴らしいチャレンジが京都を中心に進められていることは、京都市民にとっても嬉しいことである。この功績はまさに創造者としてふさわしく、特別賞とする。
今後も再生医学の発展のため、ますますの活躍を期待したい。

京都創造者賞

もてなし・環境部門

京都駅ビル室町小路広場・大階段等でのイベント

京都駅ビル開発株式会社

「京都駅ビル室町小路広場・大階段等でのイベントの開催による人と文化のふれあい・交流の場を提供」

・1997(平成9)年 京都駅ビルグランドオープン
・2002(平成14)年 開業5周年 イベント集客累計300万人達成
<件数累計1,000件達成>
・2007(平成19)年 開業10周年 イベント集客累計700万人達成
<件数累計2,000件達成>

国際文化観光都市・京都のエントランスとして、お客様を気持ちよくお迎えするだけでなく、京都と外側との情報交換の場として各種イベントを実施している。開催日数は年間500日以上で、さまざまなアーティストによる情報発信型エンターテインメントや地元京都の行政関係や学生団体などによる地域参画型イベントなど多岐にわたっており、開業以来10年間における開催件数は2,000件を超え、集客数は750万人に達している。

【審査講評】
京都の鉄道玄関としての機能はもちろん、継続的なイベント開催を通じた京都の文化情報発信は、おもてなしの精神に溢れており、本部門における創造者賞とした。これらの活動が利益追求だけでなく、地元住民との交流や、交通拠点にふさわしく全国の方々に京都をアピールするなど、駅ビルを核とした地域全体の活性化を目指す活動は素晴らしく、今後も京都の交通拠点機能充実のみならず、情報発信拠点としての取り組みに期待したい。

環境・景観部門

美山かやぶきの里

かやぶきの里保存会/有限会社かやぶきの里

「美山かやぶきの里の保全と活性化活動」

・1988(昭和63)年 「かやぶきの里保存会」の前身である
「かやぶき屋根保存組合」設立
・1993(平成5)年 国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受ける
・2000(平成12)年 「有限会社かやぶきの里」設立

「かやぶきの里」の愛称で呼ばれる美山町の北地区は、集落全体におけるかやぶき建築戸数の割合が、岐阜県白川村荻町、福島県下郷村大内宿に次ぐ重要伝統的建造物群保存地区である。この景観の保全や建造物の維持管理と地域住民の生活の両立を目指し、住民の出資による有限会社を設立することで、観光施設の運営、ボランティアガイド等の対応を組織的に行い、景観保存と観光を車の両輪とした地域づくりを進めている。

【最近の受賞歴】
・2001(平成13)年 第8回優秀観光地づくり<社団法人日本観光協会>国土交通大臣賞
・2004(平成16)年 平成16年度地域づくり表彰<国土交通省>
全国地域づくり推進協議会会長賞・日本政策投資銀行総裁賞
・2007(平成19)年 第3回美の里づくりコンクール<財団法人 農村開発企画委員会>
農林水産省農村振興局長賞

【審査講評】
重要伝統的建造物群保存地区の地域住民が一丸となり、自らが制定した規則により歴史的集落を維持、景観を保全している。また当地区を観光地として街づくりを推進している有限会社かやぶきの里は、地域を守る住民出資で行われているということも高く評価し、環境・景観部門における創造者賞とした。
今後も京都のみならず、日本の故郷として自然溢れる集落保存のための継続的な取り組みに期待したい。

アート・文化部門

京都学生祭典実行委員会

京都学生祭典実行委員会

「学生による“学生のまち 京都”の魅力を発信」

・2003(平成15)年 第1回~めっちゃ音楽!めっちゃ響都!~
<102,000人参加>
・2004(平成16)年 第2回~世界へ響け!みんなの夢!!~
<11,000人(10月)、5,000人(12月)参加>
※台風により規模を縮小したため、2回開催。
・2005(平成17)年 第3回~きいて感動!みて感動!おどって感動!
<128,000人参加>
・2006(平成18)年 第4回~祭・感動宣言~<174,000人参加>
・2007(平成19)年 第5回~この感動、見逃せない!~<215,000人参加>

約50の大学・短期大学が集積し、人口の約1割にあたる14万人を学生が占める「学生のまち 京都」の魅力を多くの人に伝えたいという発想から、学生が企画し、産・学・公・地域が協力・連携して取り組んでいる市民参加型の祭典。
「京都学生祭典を、三大祭に続く新たな京都の伝統の祭にしたい」という学生の熱い想いを、「京都の新たな伝統祭へ」というコンセプトのもと、府市民が一体をなって楽しめる祭を目指し、京都の魅力を全国に発信する取り組みとして実施している。

【最近の受賞歴】
・2007(平成19)年 京都学生人間力大賞「京都市長賞」(京都青年会議所)

【審査講評】
第5回を迎え、過去最高の観客動員数21万5,500人を記録し、学生主体のイベントとして大きく成長した。オリジナル創作おどり「京炎そでふれ」の幼稚園や小中学校への出前教室や、オリジナルみこし「京炎みこし」の制作による伝統の継承など、若い発想や積極的な活動を評価し、アート・文化部門における創造者賞とした。
今後も、京都学生祭典が「学生のまち・京都」の発信だけでなく、京都の文化・芸術力の向上のため、若い創造力の発揮を期待したい。

企業部門

ニンテンドーDS

任天堂株式会社

「ニンテンドーDS・Wiiなど、さまざまなコンテンツを京都から発信」

・2004(平成16)年 携帯ゲーム機「ニンテンドーDS」
・2005(平成17)年 DS用ソフト「ニンテンドックス」、
「脳を鍛える大人のDSトレーニング」、
「もっと脳を鍛える大人のDSトレーニング」
・2006(平成18)年 DS用ソフト「Newスーパーマリオブラザーズ」、
「ポケットモンスターダイヤモンド・パール」、
据置型ゲーム機「Wii」
Wii用ソフト「はじめてのWiiパック」、「Wiiスポーツ」
・2007(平成19)年 Wii用ソフト「Wii Fit」

wii

1889年の花札の製造開始以来、一貫して、京都から娯楽商品を発信しており、1983年に発売開始した「ファミコン」では、ビデオゲームとして世界各国で受け入れられた。
現在では、「ニンテンドーDS」「Wii」やゲームの楽しみ方を拡大するソフト群などにより、年齢、性別、経験の有無を問わず、誰もが楽しめるゲームの開発が進められている。「ゲーム人口拡大だけでなく、世界中の人々に笑顔を届けたい」。その思いで京都発の娯楽創造を続けている。

【審査講評】
ニンテンドーDS・Wiiは、従来の娯楽としての活用だけにとどまらず、健康や教育などにもゲームの可能性を拡げた。この新感覚のゲームスタイルは新しいライフスタイルを構築し、家族のコミュニケーションツールとして受け入れられるなど、国内外から高く評価されている。このような娯楽業界の新たな創造について評価し、企業部門における創造者賞とした。
今後も、世界に向けて京都ブランドを発信する企業として、ますますの活躍を期待したい。

応募状況

募集期間:平成20年4月1日(火)~5月30日(金)

222件(自薦 111件 / 他薦 111件)

もてなし部門 33件 (自薦15件/他薦18件)
環境・景観部門 28件 (自薦12件/他薦16件)
アート・文化部門 104件 (自薦54件/他薦50件)
企業部門 57件 (自薦30件/他薦27件)

授賞式

・日 時 平成20年9月29日(月) 14:00~16:30
・会 場 京都コンサートホール・アンサンブルホールムラタ
・プログラム  
京都市交響楽団 楽団員による弦楽四重奏  
開会の辞 京都創造者大賞顕彰委員会 委員長 千 玄室  
授賞式    
講  評 京都創造者大賞選考委員会 委員長 芳賀 徹  
記念講演 「自然現象に教えられて」
講師 日本画家・京都市学校歴史博物館 館長 上村 淳之 氏
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