これまでの受賞者・授賞式 2012

京都創造者大賞 2012

各賞受賞者

京都創造者大賞

【葵祭行列保存会】

路頭の儀:束帯姿の近衛使代や十二単の斎王代など、王朝絵巻さながらの葵祭の行列が都大路をすすむ

路頭の儀:
束帯姿の近衛使代や十二単の斎王代など、王朝絵巻さながらの葵祭の行列が都大路をすすむ

葵祭行列保存会、賀茂御祖神社、茂別雷神社

「葵祭の伝統・文化を継承し、王朝時代の風雅を現代に伝える活動」

・6世紀中頃
(欽明天皇御代)
賀茂祭(葵祭)始まる
・810(弘仁元)年 斎王制度が定まる
・819(弘仁10)年 最重要祭祀(中祀)となる
・9世紀中後期
(貞観年中)
壮麗な祭儀が完成となる
・1212(建暦2)年 35代に亘る斎王奉仕途絶
・1694(元禄7)年 行列再興され、
賀茂祭が葵祭と呼ばれるようになる
・1884(明治17)年 春日祭、石清水祭と共に三大勅祭となり、祭典日が新暦5月15日に定められる
・1953(昭和28)年 行列(勅使列)が復活される
・1956(昭和31)年 斎王に代わる、斎王代及び女人列が復活される
・2000(平成12)年 葵祭行列保存会が設立され、行列の保存と執行について全般の運営を行う

【賀茂御祖神社】

社頭の儀:勅使が御祭文を奏上

社頭の儀:
勅使が御祭文を奏上

 

【賀茂別雷神社】

社頭の儀:東游(あずまあそび)を舞う舞人(武官)

社頭の儀:
東游(あずまあそび)を舞う舞人(武官)

【事業内容】
賀茂祭(葵祭)は、賀茂御祖神社(下鴨)・賀茂別雷神社(上賀茂)両神社の例祭で、5月15日に執り行われる。起源は太古の昔、賀茂大神のご降臨に由縁し、日本の伝統・文化を今に伝える。
欽明天皇の御代、国内が風水害で凶作が続いたため、下鴨神社と上賀茂神社に勅使を遣わされ、賀茂大神への祭を盛大に行ったのが始まりで、ご降臨に際し行った葵桂(あおいかつら)の蔓を装うところから、葵祭と呼ばれる。
平安時代には、壮麗な行装を拝観しようと、京都の街に人が溢れた事が伝わり、祭と言えば、葵祭を指すほどに盛大に行われた国家的行事(皇室の官祭)であった。1400年を超える長い歴史の中で幾度かの中断があったが、王朝の伝統は忠実に守られて来た。
戦後1953年に葵祭行列協賛会が設立され行列を復活。1956年からは、毎年京都在住の女性から斎王代を選び、壮麗な様子を復活させ又、2000年からは、民間団体による「葵祭行列保存会」が設立され、行列全般についての運営を行うようになった。
葵祭の行列は総勢511人、馬36頭、牛4頭、牛車2輌、腰輿1基、行列は5列で長さ約1キロ、巡行距離約8キロ。

【審査講評】
京都三大祭の一つで、わが国の祭のうち最も優雅で古趣に富んだ祭として知られており、数少ない王朝の伝統が残されている。幾多の中断はあったものの、その伝統文化は1400年を超えて現代に伝えられており、まさに京都の品格を高めるブランドといえる。祭儀は「路頭の儀」と「社頭の儀」で成り立ち、長年、国家的行事として執り行われてきたが、近年では行列の運営を民間団体が支えている点も評価。京都を代表する祭事として国内外に発信するとともに、日本の伝統文化を未来に継承し続けていただきたい。

京都創造者賞

もてなし・環境部門

京都鴨川納涼床協同組合

NPO法人 日本料理アカデミー

「日本の食文化の継承と発展をめざした国内外での活動」

・2004(平成16)年 日本料理の世界的な理解促進、次代の日本料理への貢献などを活動趣旨に掲げ、日本料理アカデミーを設立
・2005(平成17)年 海外のトップシェフを対象とした日本料理フェローシップ事業開始
・2006(平成18)年 京都市教育委員会と連携し、京都市立小学校における食育事業を実施
・2007(平成19)年 特定非営利活動法人へ移行
・2007(平成19)年 全国のプロの料理人を対象とした日本料理コンペティションを隔年で実施
・2010(平成22)年 京都大学の研究室を中心とした研究者チームと、新しい学術トピックス×日本料理の可能性を探る日本料理ラボラトリー事業開始

【主な受賞歴】
・2008(平成20)年 教育振興功労賞(京都市教育委員会)
・2009(平成21)年 優秀賞(地域に根ざした食育コンクール2008)

【事業内容】
日本料理を発展させるために、教育及び文化・技術研究ならびにその世界的な普及活動を行い、日本の食文化の振興に寄与することを目的として設立。日本料理コンペティションや海外料理人向けの京都研修プログラム、海外での日本食文化紹介事業、京都市教育委員会との食育事業など、京都から食文化を通じて国内外に日本文化を発信している。また、日本の食文化の世界無形文化遺産登録に向けた活動にも尽力している。

【審査講評】
日本料理の伝統を受け継ぎつつ、常に改革を目指すため、日本料理フェローシップや日本料理ラボラトリーなど様々な事業を展開し、日本料理の世界に変革をもたらした。世代や店の境界を越えてつながり、食文化の新地を切り開いている。京料理のみならず「日本の食文化」を発信し、日本料理の発展のため尽力している点を高く評価し、もてなし・環境部門での創造者賞とした。日本料理にかかる代表的機関として、これからの展開に期待したい。

アート・文化部門

和紙作家 堀木エリ子

撮影:藤原 忠

ザイラー夫妻(エルンスト・ザイラー、カズコ・ザイラー)

「京都府南丹市日吉町にて20年以上にわたる
『かやぶきコンサート』活動を実施」

・1973(昭和48)年 ザイラーピアノデュオ結成。以来、世界各地、日本国内の主要都市のみならず、全ての都道府県において演奏活動を実施
・1979(昭和54)年 ロンドン、ヴィグモアホールデビュー
・1985(昭和60)年 ニューヨーク、カーネギーホールデビュー
・1989(平成元)年 福井県から京都府胡麻の里(南丹市日吉町)に古寺を移築再建した「かやぶき音楽堂」にて、かやぶきコンサートを開始
・1998(平成10)年 第1回かやぶき音楽堂ピアノデュオ連弾コンクール開催(以後隔年で継続開催)
・2011(平成23)年 かやぶきコンサート通算300回記念開催

【主な受賞歴】
・1997(平成9)年 自治功労賞(自治省)
・2003(平成15)年 第14回ヒューマンかざぐるま賞(公益財団法人京都オムロン地域協力基金)
・2008(平成20)年 京都府あけぼの賞
・2012(平成24)年 京都府文化賞功労賞

【事業内容】
1989年に福井県から京都府胡麻の里(日吉町)に古寺を移築再建した「かやぶき音楽堂」にて、初夏と秋のシーズンにかやぶきコンサートを定期的に行い、全国各地はもとより海外からも聴衆が訪れている。「クラシックの生のコンサートをより身近なものに」と、全国津々浦々まで精力的に出かけて演奏活動を行い、好評を得ている。4手のための連弾アンサンブルとして、演奏会、オーケストラ協演、国際音楽祭、放送、CD録音等、その活躍(評価)はめざましい。
また自然をこよなく愛し、胡麻の里で稲作りもする夫妻のライフスタイルは、多くの人々の共感を得ている。

【審査講評】
京都府南丹市日吉町のかやぶき音楽堂(国の登録有形文化財)で20年以上にわたる「かやぶきコンサート」を実施。開催回数は300回を超え、年間約数千人の人々が聴きに訪れている。クラシックコンサートを身近なものとするため、ホールのない町村でも寺社仏閣や廃校などでコンサートを行い大きな反響を呼んでいる。京都を拠点に世界的に活躍している両氏の活動を高く評価し、アート・文化部門での創造者賞とした。今後も京都を代表するピアノデュオとして活躍し続けていただきたい。

企業部門

京都リサーチパーク

第40回アジア開発銀行年次総会
歓迎レセプション会場 仁和寺にて

株式会社京都銀行

「四季折々の京都の魅力をポスターで発信する
『I Love Kyotoキャンペーン』」

・1941(昭和16)年 銀行創立
・1982(昭和57)年 地元本店銀行として「歴史都市・京都」の素晴らしさを発信するためキャンペーン開始
・1992(平成4)年 キャンペーン開始10周年を記念し写真集発刊
・1995(平成7)年 英語版写真集発刊
・1997(平成9)年 キャンペーン開始15周年を記念しポストカード制作
・2001(平成13)年 銀行創立60周年を記念し写真集発刊
・2002(平成14)年 キャンペーン開始20周年を記念しカレンダー制作
・2011(平成23)年 銀行創立70周年を記念し写真集発刊

【事業内容】
地域社会の一層の発展に向けて、"京都を愛するこころ"を広く人々の意識に育み、「歴史都市・京都」の素晴らしさを将来にわたってまもり育ててゆこうとの趣旨から、1982年に同キャンペーンを開始し、本年で30年の節目を迎える。
企業名を出さず、「I Love Kyoto」と題して、京都府下全域にわたる自然・歴史的遺産・伝統文化・人々の暮らしなどを四季折々の趣に託して表現したポスターは、385種類、約61万枚を数える。
広域型地方銀行として店舗網の拡充を進める中、より多くの地域の方々にポスターを楽しんでもらい、千年の都が醸し出す京都ならではの息吹・文化を発信している。

【審査講評】
春夏秋冬の季節毎に3種類のポスターを制作し、京都内外の地域で京都の魅力を発信。本キャンペーンは、京都の素晴らしさを再認識するとともに、それらを守り育てようという郷土愛を喚起する活動でもある。企業名を出さず30年にも亘り続けてきた社会貢献活動を高く評価し、企業部門での創造者賞とした。この活動を通じて、世界に冠たる伝統と文化を持つ「歴史都市・京都」を守り育み、次代に引き継ぎ、京都の更なる発展に繋がることを期待したい。

未来への飛翔部門

京都伝統産業青年会

京都教育大学附属高等学校電子工学部 eπi +1 (ZERO)チーム

「ロボカップジュニア世界大会での活躍など、
ロボットの設計製作を通じた次代を担う人材育成」

・2010(平成22)年 チーム結成
・2010(平成22)年 ロボカップジュニアサッカーA LightWeight
チャレンジ出場
・2010(平成22)年 World Robot Olympiad レギュラーカテゴリー
高校生部門出場
・2011(平成23)年 ロボカップジュニアサッカーB Openチャレンジ出場
・2012(平成24)年 ロボカップジュニアサッカーB Openチャレンジ出場

【主な受賞歴】
・2010(平成22)年 ロボカップジュニアサッカーA LightWeightチャレンジ
京滋奈ブロック優勝、ジャパンオープン4位、
シンガポール世界大会スーパーチーム3位入賞
・2010(平成22)年 World Robot Olympiadレギュラーカテゴリー高校生部門関西大会3位入賞
・2011(平成23)年 ロボカップジュニアサッカーB Openチャレンジ
京滋奈ブロック優勝、ジャパンオープン優勝、
イスタンブール世界大会スーパーチーム準優勝
・2012 (平成24)年 ロボカップジュニアサッカーB Openチャレンジ
京滋奈ブロック優勝、ジャパンオープン準優勝、
メキシコシティ世界大会スーパーチーム3位入賞・個別チーム4位

【事業内容】
電子工学部では、主に自律型ロボットを製作し、チームを結成してロボカップジュニアやWorld Robot Olympiadに出場。速く正確に動くサッカーロボットを目指し、機械設計、電子回路設計、組立およびプログラミングを行っている。2010年シンガポール世界大会出場を機に、3年連続世界大会に出場し、その技能等を先輩方から継承し現在に至る。京都教育大学附属小学校・中学校や、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)生徒発表会等、校内・校外のさまざまな機会で活動内容について発表している。なおチーム名は、世界で最も美しい数式と言われるオイラーの公式eπi+1=0から命名。

【審査講評】
ロボカップジュニア世界大会で活躍し、京都の叡智を世界へ広く発信。同校は文部科学省より「スーパーサイエンスハイスクール」に指定され、科学の研究・技術の開発をリードする研究者・技術者の育成を目指している。様々な技術が凝縮したロボット製作を通じた同チームの活動は、まさにそれを具現化するものであり、未来への飛翔部門での創造者賞とした。京都の、ひいては日本の科学界を牽引する人材育成に広がることを期待したい。

応募状況

募集期間:平成24年4月2日(月)~5月31日(木)

264件(自薦 55件 / 他薦209件)

もてなし・環境部門 57件 (自薦7件/他薦50件)
アート・文化部門 82件 (自薦22件/他薦60件)
企業部門 86件 (自薦18件/他薦68件)
未来への飛翔部門 39件 (自薦8件/他薦31件)

選考状況

・選考委員会 平成24年7月13日
・顕彰委員会 平成24年7月26日

授賞式

・日 時 平成24年9月10日(月) 午後2時~同4時30分
・会 場 京都産業大学壬生校地むすびわざ館
・プログラム  
ハープ弾き語り演奏 速海ちひろ氏  
開会の辞 京都創造者大賞顕彰委員会 委員長 千 玄室  
講評 京都創造者大賞選考委員会 委員長 横山 俊夫  
記念講演(対談) 「ホスピタリティのまち」
鷲田 清一 氏(大谷大学教授)、西村 明美 氏(柊家女将)
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