これまでの受賞者・授賞式 2020

京都創造者大賞 2020

各賞受賞者

京都創造者大賞

公益財団法人冷泉家時雨亭文庫

「公家屋敷や古典籍類の保存により伝統文化の継承と新しい文化の形成に貢献」

・1981年 財団法人設立
・2011年 公益財団法人へ移行
「公家屋敷や古典籍類の保存により伝統文化の継承と新しい文化の形成に貢献」


【事業内容】

重要文化財の冷泉家住宅は、完全な姿で現存する唯一の公家屋敷。天明の大火で消失後、1790年(寛政2年)に再建された建物とその配置構成は、貴重な遺構として知られている。
また、公益財団法人冷泉家時雨亭文庫として和歌に関するものを中心に、国宝5件、重要文化財48件をはじめ、数万点にのぼる典籍や古文書類を保存。中世から近世にかけて、その時代の公家や武家の手で書き写されて流布したものの親本も多く伝存し、伝統文化の継承と新しい文化の形成に重要な役割を果たしている。

【審査講評】

各地の歴史的な資料や貴重な古文書が散逸している。冷泉家は「和歌の家」として、古来の書物・書籍、特に先人の創造物である和歌を大切に守り伝え、その取り組みはわが国において他に類を見ない。公家屋敷や典籍といった有形文化財の保存とともに、四季折々の年中行事を執り行うことで、公家の生活や宮廷文化といった無形文化財を伝承されてきた。今後も、今を生きる私たちを古へといざない、新たな文化創造の発端を与え続けられることを期待したい。

京都創造者大賞

琵琶湖疏水沿線魅力創造協議会

「琵琶湖疏水沿線の魅力創造事業」

えびす屋(株式会社ベリー・プロジェクト)ロゴ
・2017年 協議会設立。通船を含む琵琶湖疏水沿線の観光開発を担う事業主体として、民間企業、京都市と滋賀県大津市の観光協会、商工会議所、地元行政の連携により設立。
琵琶湖疏水沿線魅力創造協議会

【事業内容】

明治維新の後、衰退する京都に水をひき、街を活性化するため、1890年に建設された琵琶湖疏水。舟運や水力発電の活用などにより、日本初の路面電車の実現など京都に活力をもたらした。同協議会は琵琶湖疏水で運航されていた通船を、観光船として復活させ、琵琶湖疏水沿線の魅力創造・発信を担い、岡崎・山科・大津の広域的な活性化に寄与している。琵琶湖疏水は国の史跡に指定されており、2020年6月、日本遺産認定(文化庁)。

【審査講評】

琵琶湖疏水は近代京都の礎である。明治維新により活気を失った京都が復興し、水力発電や電気鉄道などの日本初の事業を成し遂げたのは、琵琶湖疏水の建設が端緒となっている。当時、琵琶湖から京都へ人や貨物を運んだ通船を、観光船としてよみがえらせ、新しい持続可能な観光モデルが誕生した。国内外の観光客や子どもたちが、疏水沿線に存する数多の産業遺産と豊かな自然を堪能し、船上という目新しい視点から、都市創造の歴史に触れる機会を今後も提供されることを期待したい。


京都創造者賞

丹後ちりめん創業300年事業実行委員会

「2020年丹後ちりめん創業300年「次代へ、新たな挑戦。」」

丹後ちりめん創業300年事業実行委員会ロゴ
・2017年 実行委員会設立。産地単独の織物総合展「Tango Fabric Marche」を毎年開催。
・2018年 On Aura Tout Vuとのコラボをパリコレで発表。専任事務局を設置、事務局体制を強化。新ロゴ「TANGO OPEN」発表会を東京で開催。「メゾン・エ・オブジェ・パリ」に出展。
・2019年 国内最大手のセレクトショップブランドの産地単独展示商談会を開催。「IMAGINE ONEWORLD KIMONO PROJECT」に参画、アルゼンチンをテー マにした着物等を制作。「Fashion Cantata from Kyoto」に「男きもの」出品。
丹後ちりめん創業300年事業実行委員会


【事業内容】

同委員会は、行政、商工会・商工会議所や金融機関、公共交通機関、異業種組合や文化団体も参画した、地域一体の事業体制をとる。丹後地域の「ブランド」向上と地域の子どもたちが地域の地場産業に「夢」、「希望」、「刺激」を感じてもらえるよう、パリコレでの作品発表や影響力のあるデザイナー等の招聘、共同の商品づくりのほか、国内外の優秀な学生と丹後事業者が連携したものづくりによる人材育成などに取り組んでいる。

【審査講評】

丹後の絹織物の歴史は古く、奈良時代にまで遡る。織物の里・丹後は、今から300年前、先人が京都西陣から持ち帰ったちりめん織りにより革新を迎え、瞬く間にわが国随一の絹織物産地へと昇華した。丹後の人の手と豊かな自然により守り育まれてきた丹後ちりめんは、海外や気鋭の才能と出会い、新たな転機を迎えている。創業300年が独自の技法を次代へつなぐ起点となり、心地よい手触りと鮮やかな風合いを世界中のファッションシーンに伝播し続けることを期待したい。


京都創造者賞

株式会社クロスエフェクト

「手術前シミュレーションの実現による患者負担と医療リスクの低減」

・2000年 創業(京都市伏見区)
・2001年 法人設立
・2003年 経営革新支援法 承認取得(京都府知事承認事業)
・2005年 第8回京都市オスカー認定企業取得
・2011年 臓器シミュレーター開発企業「株式会社クロスメディカル」設立
・2012年 京都中小企業技術大賞受賞
・2013年 第5回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞受賞
・2017年 経済産業省「地域未来牽引企業」選定
株式会社クロスエフェクト

【事業内容】

ものづくりにおける試作品等を製造し、高品質やカスタムメイドといった顧客の要求に応え、特に短納期では他社の追随を許さない水準のスピードを提供。受賞事業では、心臓の内部までリアルに再現された「超軟質心臓シミュレーター」を開発。先天性の心臓疾患をもつ赤ちゃんの高難易度の手術を前に、医師が手術を完全にシミュレートすることを可能にした。医師と患者のリスクを軽減し、手術時間の短縮と手術の成功率を高めている。

【審査講評】

難手術に挑む医師が本物と同じ臓器を用いて手術のリハーサルができれば、患者への負担を和らげ、失われる命を救うことができる。そんな理想の医療の実現に挑むクロスエフェクトは、独創性と先端性にあふれる京都のものづくりの世界において、磨き高めた究極のスピードを武器に異彩を放ってきた。災害や疫病により、生命や健康への欲求が高まる現代において、その最速で精緻な技術力を生かし社会課題の解決に果敢に挑み続けられることを期待したい。

応募状況

募集期間:2020年3月13日~4月30日


授賞式

日時 2020年9月7日(月)午後2時~4時
場所 ロームシアター京都サウスホール

授賞式は、ロームシアター京都において開催し、顕彰委員長の塚本能交(京都商工会議所会頭)や顕彰委員の西脇隆俊(京都府知事)、門川大作(京都市長)から、各受賞者に表彰状と副賞の活動助成金、トロフィーが授与されました。また、選考委員会委員長の佐々木丞平(京都国立博物館館長)から、選考経過について報告し、各受賞者の取り組み内容を紹介しました。授賞式後の記念講演では、ゴルフキャスターとしておなじみの戸張捷氏が、「ゴルフとビジネスマネジメント」と題して講演を行いました。

公益財団法人冷泉家時雨亭文庫の
冷泉為人理事長(右)

琵琶湖疏水沿線魅力創造協議会の
西村健会長

丹後ちりめん創業300年事業実行員会の
今井英之委員長(右)

株式会社クロスエフェクトの
竹田正俊社長(右)


副賞

京都創造者大賞 トロフィー、活動助成金100万円
京都創造者賞  トロフィー、活動助成金50万円

「創造の息吹」
トロフィー 創造の息吹は、伝統の上に芽生える。
京都の地に根付いた伝統の上に、新しく生み出される創造の心を継承・発展してゆく情景を、大地に根付いた手を伝統に見立て、生み出されるものを子供に象徴化した。

江里 敏明(えり・としあき)江里 敏明(えり・としあき)
1947年京都市生まれ。
日展を主な発表の場とし、現在 日展評議員・日本彫刻会運営委員なども務める。 主な作品に田辺朔郎像、北垣国道像、毛利輝元像、中岡慎太郎像、 京都国体メダルなどがある。

※賞状には京都の無形文化財にも指定されている黒谷和紙を使用
↑