京都創造者大賞 2021
各賞受賞者
京都創造者大賞
京都マラソン実行委員会
山紫水明の文化の都・京都を肌で感じる京都マラソン
・2012年 | 第1回大会を実施。以来、早春の都大路の風物詩として定着 |
---|---|
・2021年 | 第10回大会はコロナ禍によりオンラインで実施 |
【事業内容】
2012年の第1回大会以来、国内外から延べ14万人以上のランナーが参加。7つの世界遺産や山紫水明の風景を巡るコースなど、歴史や文化、自然を楽しめる大会として人気。多くの市民がボランティアや沿道応援に参加し、裏千家のお茶席、京都伝統工芸の実演、京友禅染め体験会などを実施するなど、伝統文化のPRにも力を入れ、京都の文化を肌で感じることができる。京都三大祭に続く「市民が創る新たな祭」として京都に定着しつつある。
【審査講評】
東京五輪・パラリンピックが示す通り、スポーツは感情を揺さぶり、万人を引き付ける。京都マラソンも同様に、コースに点在する憧れの名所旧跡や目に美しい自然景観がランナーを奮い立たせ、スタート前からゴール後まで続く市民ぐるみのおもてなしが、世界中からランナーを呼び寄せる。コロナ禍に苛まれた第10回大会は、オンライン形式で開催し、その利点を生かして、ビギナーランナーのニーズを取り込んだ。「次こそ京都の地を走る」と意気込むランナーを、今後も京都らしく迎え、コースへ送り出すことを期待したい。
京都創造者賞
ミツフジ株式会社
世界で唯一のウェアラブルIoTトータルソリューション企業
・1956年 | 創業者 三寺冨士二が西陣帯工場として創業 |
---|---|
・1992年 | 電磁波防止や抗菌防臭作用を持つ銀繊維AGpossRの誕生 |
・2014年 | AGpossRの優れた導電性に着目 |
・2016年 | 先代から受け継いだ伝統ある繊維加工技術および銀繊維と、3代目が培ったIT技術を融合させた生体情報管理システムhamonRを自社開発。繊維からクラウドまでのワンストップサービスを提供。 |
【事業内容】
1956年、京都府城陽市で創業。2014年、事業承継に際し、銀繊維の導電性に着目し、生体が発する電気信号を収集し、管理・活用できるプラットフォームを確立。繊維の製造からウェアの縫製、生体情報デバイスや情報管理アプリの開発・運用までをワンストップで提供する世界で唯一の企業。ユーザーが身に纏うだけでストレスフリーに生体情報を収集し、従業員の健康・ストレス管理や乳幼児、高齢者の見守り、アスリートのパフォーマンス向上など、新時代の社会的課題の解決に取り組む。
【審査講評】
先代から受け継いだ機能性繊維の「導電性」、その一点を突破口に新たな価値創造に挑む。群雄割拠のウェアラブル業界において、糸からアプリまで一気通貫に手掛ける唯一無二のベンチャーには、伝統的な西陣織のDNAが息づく。すべての製品・サービスはカスタマイズの理念をもち、顧客の要望に応じて、フルコースからアラカルトまで提供することが可能。時代の荒波の中で生き続けるしなやかな身のこなしは、京都らしい老舗の経営哲学を想起させる。地域に根付く繊維産業の将来を指し示すような今後のさらなる飛躍を期待したい。
京都創造者賞
WILLER TRAINS株式会社
「交通革新」と「まちづくり」の連携による地域価値の向上
・2015年 | 北近畿タンゴ鉄道株式会社から鉄道運行を引き継ぎ、鉄道の名称を「京都丹後鉄道」と改称 |
---|---|
・2018年 | 地域の特産品を活かした駅併設カフェ及びECサイトをオープン |
・2019年 | 地元の伝説・大江山の赤鬼をイメージした新型車両を23年ぶりに導入 |
【事業内容】
京都丹後鉄道を基軸とした高次元交通ネットワークにより、住みやすいまち、行ってみたいまちづくりに取り組む。観光列車「くろまつ号」をはじめとする新たなサービスや企画乗車券の充実、地元の魅力を再発見するイベントを開催。グループ企業の取り組みとして、沿線地域の交通課題解消に向けたAIオンデマンド交通の導入や、地域の特産品を活かしたECサービス展開による地域活性化の促進など、沿線地域に寄り添った新たな価値創出を図っている。
【審査講評】
人口減少や高齢化といった地方の課題に、交通を武器に立ち向かう。京都府北部地域の生活の足として欠かせない京都丹後鉄道の運行を事業の核に据え、地方自治体や共存する公共交通機関、地域住民とタッグを組み、ICTを活用したオンデマンド交通システムを構築し、交通革新によるまちづくりに取り組む。観光面では、豊かな自然や食、文化などの地域資源を結び付け、新たな観光コンテンツを創出し、誘客を図り沿線の交流人口の増加につなげている。モビリティサービスを通じて京都北部の地方創生の旗手となることを期待したい。
京都創造者賞
社会福祉法人あだち福祉会
京都こども宅食プロジェクト
・2019年 | 一般社団法人こども宅食応援団と京都市、同法人の三者による京都こども宅食プロジェクトの推進に関する協定締結 |
---|---|
・2020年 | 京都市伏見区の一部地域にて本格配送を開始。以降、支援対象地域を中京区全域へ拡大するとともに、支援内容の充実を図る |
【事業内容】
子どもを持つ家庭に、食品や日用品を届けることをきっかけに、各家庭の悩みや課題等を見つけ、積極的に手を差し伸べる見守り活動「京都こども宅食プロジェクト」を実施。孤立社会の拡大や子育て環境の悪化が懸念されている現代において、社会の善意を子どもに届け、地域との絆づくりにつなげる。対象世帯を京都市伏見区から中京区へ、さらに北区等へ拡大するとともに、地域のボランティアや奉仕団体、学生、企業が参画する市民運動として広がりを見せつつある。
【審査講評】
番組小学校に代表されるように、歴史的に京都は町衆の連帯や地域コミュニティが、その時代の子どもたちを育み、将来に活力をつないできた。京都こども宅食プロジェクトは、その精神が令和の時代にも綿々と受け継がれてきたことを明らかにした。篤志家や企業の物心両面の支援の輪は広がり続け、医療や法律、税務、福祉などの専門スタッフが、子育ての課題を高度にバックアップでき得る体制を整える。この活動を通じて地域の絆が再構築され、今を生きる子どもたちが将来の京都創生の担い手として育まれることを期待したい。
応募状況
募集期間:2021年3月15日~4月30日
授賞式
日時 | 2021年11月9日(火)午後2時~4時 |
場所 | ロームシアター京都サウスホール |
授賞式は、ロームシアター京都において開催し、顕彰委員長の塚本能交(京都商工会議所会頭)や顕彰委員の西脇隆俊(京都府知事)、門川大作(京都市長)から、各受賞者に表彰状と副賞の活動助成金、トロフィーが授与されました。また、選考委員会委員長の佐々木丞平(京都国立博物館名誉館長)から、選考経過について報告し、各受賞者の取り組み内容を紹介しました。なお、本賞は15回目となる今回を区切りに、今後は京都創造者憲章の理念をさらに継承・発展する事業へと展開していきます。授賞式後の記念講演では、福聚山慈眼寺の塩沼亮潤大阿闍梨に「人生は毎日が小さな修行」と題し、塩沼氏が経験された厳しい修行や困難への向き合い方についてご講演いただきました。
京都マラソン実行委員会の |
ミツフジ株式会社の |
WILLER TRAINS株式会社の |
社会福祉法人あだち福祉会の |
副賞
京都創造者大賞 トロフィー、活動助成金100万円
京都創造者賞 トロフィー、活動助成金50万円
「創造の息吹」 | |
---|---|
創造の息吹は、伝統の上に芽生える。
京都の地に根付いた伝統の上に、新しく生み出される創造の心を継承・発展してゆく情景を、大地に根付いた手を伝統に見立て、生み出されるものを子供に象徴化した。 江里 敏明(えり・としあき) 1947年京都市生まれ。 日展を主な発表の場とし、現在 日展評議員・日本彫刻会運営委員なども務める。 主な作品に田辺朔郎像、北垣国道像、毛利輝元像、中岡慎太郎像、 京都国体メダルなどがある。 |
|
※賞状には京都の無形文化財にも指定されている黒谷和紙を使用 |